読んだ本

休日初日だったので、調子に乗って3冊読み、読み終える。

グローバル恐慌の真相 (集英社新書)

グローバル恐慌の真相 (集英社新書)

中野「TPP反対」剛志と柴山桂太という滋賀大学経済学部准教授の対談。予め批判的に読もうと考えていたんだけど(まあ「偏見」があったのだろう)、予想よりは悪くなかった。これからどうしていくのかという積極的なヴィジョンを打ち出しているわけではないので、それを不満に思う人もいるんだろうな、と。
成熟社会の経済学――長期不況をどう克服するか (岩波新書)

成熟社会の経済学――長期不況をどう克服するか (岩波新書)

小野「増税ブレーン」善康の、新しい本。納得できる部分と、そうでない部分が半々。たぶん小野氏の一般向けの本のなかでも、最も分かりやすい本なんじゃないあだろうか。主張していることは『不況のメカニズム』とほとんど(というか、まったく)変わらないんだけど、非常に平易なものになっている。これまでの「発展途上社会」では適切な政策が、現在の「成熟社会」では不適切な政策になってしまうこともあるのだよ、というようなことを書いている。「効率化効率化って効率を良くしていっても、いまは需要不足なんだから効率化したら失業者が増えるだけ。発展途上社会の場合は効率化された産業から余った人はほかの仕事に就くこともできるし、人が無駄になるってことはないけど、成熟社会の場合は失業状態に追いやられて人が無駄になる」「生産性を上げたって需要がなければ意味がない」「少子高齢化で大変っていってるけど、それが労働力不足に対する懸念だとするなら、定年を引き延ばせば定義上労働力は増えるし、それは現実的にも可能」と、まあこういうことを書いていて、ここらへんはもっともだとも思うんだけど、乗数効果の否定(しかし財政出動による雇用創出には景気浮揚効果があると小野氏はいうのだけれども、それがなぜ両立するのかイマイチ理解できない)とか、増税イイデスヨーのノリにはぜんぜんついていけません……現物支給の提案もしているんだけど、どうなんでしょうか……この本はあくまでも口頭的な(!?)説明なんだけど、理論的な裏づけは今月刊行予定の『不況の経済理論』に書かれているよう(読みたいが、価格が高い……)。
はじめての法律学 -- HとJの物語 第3版 (有斐閣アルマ)

はじめての法律学 -- HとJの物語 第3版 (有斐閣アルマ)

「法律を基本からオベンキョしよう」期間続行中なので読んだみた、読んでみたんだが……いや、良い本だと思うんですよ。やっぱりわたくしのような素人なんかは、いったいどんな手続きで勾留されたりするのかしらんとか、離婚手続きってどうやるのとか、そもそもどういう訴訟なら裁判やってくれるの(訴訟要件)とかね、具体的な話を知りたいっていうのはそりゃあ、あるわけでして、だから、この本も一つのストーリーに沿って法律の解説をしていくわけ。分かりやすくて、とっても良いね。だけど、そのストーリーは以下のようなものなのである。

有名私立大学法学部に入学し、学生生活をエンジョイするH。大企業からの内定を得て、あとは卒業するだけだ。結婚を考えている彼女とドライブに行き、ハイな(この「ハイな」という表現は、わたし自身の名誉のために言っておくと本文からの引用である)気分で酒を飲み、速度制限を無視して、車をぶっ飛ばす! 赤信号なんて無視で突っ切った。そこへ、女子学生Jが交差点へ現れる。想像通り、Hの車はJを轢き、しかしHはそのまま逃亡。Jは病院に運ばれたものの意識は戻らず、植物人間状態へ……
Hは容疑者として逮捕されるが、「僕、ヤッテナイヨー」と否認するも、同乗していた恋人に証言され刑務所に……
さて、意識が戻らないJ。Jの母親は、損害賠償請求をHに行うことを考え、あるいは病院に不手際があったのではないかと考え、病院への損害賠償についても考える。そして、Jの母親は、Jが生前「へんな延命は止してくれ」といっていたことを思い出し、迷った挙げ句、Jの生命維持装置を取ることを決めるのだった。しかし、それを行う法整備がなっておらんので、生命維持装置を取ってくれる病院を探し出し、「さよなら」と、Jを見送るのだった……

さて、なんでこんな陰気な話を読まなきゃならんのだ。